ボイトレについて語るときについ忘れがちなのが「姿勢」です。
しかしこの姿勢一つで声の出し方が大きく変わることがあります。
今日はそんな”意識ですぐに変えていくことができる”姿勢について深堀りしていきましょう!
歌っているときについやってしまう姿勢のクセを知ろう
歌っているとき、無意識のうちに身体が前のめりになっていたり、顎が上がっていたりすることはありませんか?
これらの姿勢は、発声に大きな影響を与えてしまう要因になります。
ここではついやってしまう姿勢のクセについて知ることで、改善のための糸口を探っていきます。
知らないうちに猫背や前かがみになっている
多くの人が歌っている最中に陥りやすい姿勢が「猫背」です。
スマートフォンやパソコンを長時間使う現代人にとって、猫背はもはや日常の一部といっても過言ではありませんが、これが歌のパフォーマンスを下げる原因にもなってしまいます。
猫背になると気道が圧迫され、肺を膨らませる際にスムーズに息を吸うことができなくなります。
つまり、必要な息を吸うのに時間がかかり、歌う際に必要な息の自由な流れが失われるわけです。
これはスポーツで例えるなら、呼吸のしづらいマスクをつけて全力疾走しているようなものです。
無意識の「顎上げ」
音程が高くなると「顎を上に突き出すクセ」が出てしまう人も多いです。
これは場合によっては喉の広がりをキープできて効果的に働いていることもありますが、やりすぎると喉がしまり声帯をいためるきっかけになってしまいかねません。
心理的に「上に向かって声を出す」イメージがあるからだと思いますが、ほとんどの音は、響きを適切に使ってあげるとそれほど顎を突き上げたりせずにリラックスして出すことができます。
高音にアプローチするときは顎の位置をいたずらに動かすことよりも、まず喉をしっかり開くことなどが大事だということを覚えておきましょう。

悪い姿勢で歌うと起こるデメリット
歌の練習において「姿勢が大事」とはよく言われますが、では具体的に悪い姿勢のまま歌うと、何がどう悪いのでしょうか?
このセクションでは、悪い姿勢がもたらす具体的な“マイナスの連鎖”についてご紹介します。
呼吸が浅くなり、声が伸びない
先程も言った通り、猫背や前かがみの姿勢になると、気道が圧迫されます。
またそれだけではなく、肺が十分に広がらなくなり、結果的に呼吸も浅くなってしまいます。
深く息を吸えない状態では、安定したロングトーンを出すことが難しく、歌の持続力が著しく落ちてしまうのです。
たくさんの息は、大きな声、長い声、高い声を出す際に一番大事になる部分です。
特に高音や大きな声を出すときに、息の支えが足りず「声がかすれる」「出だしで詰まる」などの問題が起こりやすくなります。
声帯に負担がかかり、喉が痛くなる
悪い姿勢で歌うもうひとつの大きな問題は、喉への負担です。
頭の位置が前に出たり、顎が上がった状態で歌うと、首まわりの筋肉が緊張しやすくなり、声帯に余計な力がかかります。
この状態で無理に声を出し続けると、喉を傷めたり、声が枯れたりする原因になります。
特に自己流で練習している方は、無自覚にこの状態になっていることが多く、注意が必要です。
酔っ払って声がうまく出ないときになんとか高音を出そうと張り上げて、翌日になると声がぜんぜん出ない・・・なんてこと経験あるのではないでしょうか?
これもこういった力みによる負荷が原因です。
・・・え、私だけですか?
音程やリズムにも悪影響が出る
姿勢が崩れていると、呼吸の出し入れがスムーズにいきません。
呼吸の出し入れがスムーズに進まないということはリズムに乗せて声を出すことができないということであり、特に出だしが遅れてしまったりします。
「え?姿勢とリズムって関係あるの?」と思われるかもしれませんが、私たちの身体はひとつの“楽器”のようなもの。
支えが不安定だと、リズムのブレが生じるのは当然です。
正しい姿勢は、ただ「見た目が美しい」だけでなく、「歌のあらゆる要素の土台」であるということをぜひ覚えておいてください。
座って歌う?立って歌う?それぞれのメリットと使い分け
「歌は立って歌うもの」と思っている方も多いかもしれませんが、実は座って歌うスタイルにも独自のメリットがあります。
ここでは、立ち歌・座り歌それぞれの特徴と、状況に応じた使い分け方をご紹介します。
立って歌うメリット
立って歌う最大の利点は、身体全体を使って歌を歌うためのバランスを取りやすいということです。
とくに胸の広がりや背中の柔軟性を意識しやすく、深い呼吸を支える体勢を取りやすいのが特徴です。
ただし、立っているからといって必ずしも理想的な状態とは限りません。
よくあるのが、重心がずれて逆に歌いづらくなっているケースです。
正しい姿勢とは、足裏全体に体重が均等に乗り、骨盤の上にまっすぐ背骨が立っている状態。
鏡やスマホの動画でチェックして、身体が傾いていないか確認してみましょう。
座って歌うメリット
一方で、座って歌うことには「演奏と発声をつなげやすい」というメリットがあります。
ギターやピアノを弾きながら歌うシンガーソングライターにとって、座ったまま呼吸と発声のバランスをとることはとても大切なスキルです。
ギターの弾き語りはストラップをつければ立ちながらの発声もできますが、特にピアノを中心としたその他の楽器は、座りながら演奏することが多いです。
そのため一度座りながら歌うことに慣れれば、そういった演奏をしながらの「弾き語り」にも応用できるというわけです。
私自身、弾き語りを始めた頃、練習のときは立ち、演奏のときに座る、という変化に対応できませんでした。
あらかじめ練習のときから座って声を出すことで、ちゃんと演奏の際にも響く声で歌うことができるようになり、
「立っているときと全然歌い方が違う」
と気づくことができました。
両方を使い分けることでトレーニング効果が倍増する理由
立つこと・座ることのどちらが「正解」というわけではありません。
それぞれの姿勢が持つメリットを理解し、目的に応じて柔軟に使い分けることが大切です。
たとえば、立って発声練習をすることで呼吸のダイナミズムを体感し、座って歌うことでまた違ったバランスでの身体の使い方を意識する。
こうした両面からのアプローチが、結果的に歌唱力全体を底上げしてくれます。
場面や目指すスタイルに合わせて、最適な姿勢を選び取れるようになりましょう。

歌う時の正しい基本姿勢とは?実践のためのガイド
さていよいよ「正しい姿勢」について、「具体的にどうすれば?」という観点からみていきましょう。
普段練習をしているのに上達をしない人は、これらの部分に気をつけてもらえれば劇的に変わるかもしれません。
それでは、どんなジャンルの歌にも応用できる“身体の土台”をつくっていきましょう!
「足元」と「骨盤の傾き」
正しい姿勢をつくるうえで、最初に整えるべきは「足元」と「骨盤」です。
歌は全身運動ですので、下半身の安定がなければ、上半身もブレやすくなってしまいます。
足は肩幅に開き、足裏全体に均等に体重が乗るように立ちます。
かかと重心になっていたり、つま先立ち気味になっていないか確認してください。
そのうえで、骨盤を立てることを意識しましょう。
骨盤が後ろに倒れていると、背中が丸まり、呼吸が浅くなります。
よく言われるのは「肛門を中にしまう」ような感覚で、骨盤を起こしてあげます。
そうすると自然と背筋が整っていきます。
もしこの感覚がつかみにくい場合は、おしりにペンを挟んで落ちないようにキュッとしめる感覚・・・というとわかりやすいかもしれません。
どちらも骨盤を起こすためによく言われていることですが、後者に関しては間違っても人のいる場所で試さないようにしましょう・・・!
肩・首・頭の位置を整える3ステップ
下半身が安定したら、次は上半身です。
特に「肩」「首」「頭」のポジションが崩れていると、すぐに喉へ負担がかかってしまいます。
・肩は力を抜いて自然に落とす
胸式呼吸になっていると特に肩が上がりやすいので、まずはリラックスして胸や肩の力を使わないことを意識します。
・あごは軽く引く
高音で前に突き出したくなる顎ですが、これを引くことで喉の緊張が大幅に軽減されます。
ただ引くことばかりに意識を持つと逆に力が入ってしまうので、なれないうちはまず喉を開く意識を優先してあげましょう。
・頭は天井から吊られているイメージを持つ
頭のてっぺんから軽く引き上げられている感覚を意識すると、姿勢全体が整いやすくなります。
これはさきほどいった「骨盤を起こす」ことと合わせてやってあげてください。
慣れてくると呼吸の流れが良くなって気持ちいいですよ。
この3ステップだけでも、発声時の声の通りが驚くほど変わります。
声の「抜け」が良くなり、身体全体がひとつの楽器として響きやすくなります。
なれないうちは違和感が抜けないと思いますが、違和感が抜けた頃には違いを実感できるようになるはずです。
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まとめー正しい姿勢で歌唱を改善!
いかがだったでしょうか。
今回のコラムでは、歌うときの姿勢について、具体的なパターンとともに改善策を段階的にご紹介してきました。
練習の前にはまず、鏡の前で姿勢をチェック。
立って歌うとき、座って歌うとき、それぞれのメリットを活かしながら、「自分にとっていちばん自然な身体の状態」を探してみましょう。
そしてぜひ、今日からの練習に小さな意識をひとつ加えてみてください。
それだけでも、あなたの声は確実に変わっていきます。
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