皆さんこんにちは!
WACCA MUSIC SCHOOLです!
今回は名前はよく聞くけど何かはよくわからない発声技術の代表格である「ミックスボイス」について、詳しく解説していきます。
それでは行ってみましょう!
ミックスボイスとは?その特徴を理解しよう
まずはミックスボイスの特徴を理解していきましょう。
ここではミックスボイスの定義やメリットを説明していきます。
ミックスボイスの定義
●地声と裏声の中間に位置する発声方法
ミックスボイスは地声と裏声の中間に位置する声です。
地声と裏声の両方の性質を持つので、無駄な力を入れずに音程を移動することができます。
歌で使う様々な発声テクニックの原点はこのミックスボイスであり、ミックスボイスが使えないと満足に歌を歌うことはできません。
歌を歌う人全員が習得すべき、必須のテクニックです。
●なぜ多くの人がミックスボイスを目指すのか
なぜ多くの人がミックスボイスを目指すのかというと、ミックスボイスが使えないと歌が歌いづらくなるからです。
具体的には以下のような不具合が出て来ます。
- ①地声の高音が、ボリュームを大きくしないと出せない。
- ②裏声に滑らかに移行していけない。高音域に突入すると大きなひっくり返り音(フリップ音)と共に突然裏声になってしまう。
- ③長時間発声できない。高音が続く曲が疲れて歌えない。
これらの症状は典型的な地声(チェストボイス)歌いの特徴です。
ミックスボイスを使用すると、これらの症状が一気に改善します。
ミックスボイスのメリット
●声域が広がり、高音が楽に出せるようになる
ミックスボイスが使えるようになると裏声と地声の境目が滑らかになるので、歌で使える音域が一気に広がります。
また、高音域になればなるほど裏声の要素を強めていくことができるので、声を張り上げる必要がなくなり、出すのが非常に楽になります。
●声に安定感が出て、疲れにくくなる
ミックスボイスは声の安定感も生み出します。
ミックスボイスが使えないと、無理して出しているような印象の地声と、弱々し過ぎる裏声が歌の中で何回も登場することになるので、声に統一感が無くフラフラした印象の歌になります。
ミックスボイスが使えると、音程が上がれば裏声に、下がれば地声に「自然と」切り替わるので、わざわざ声を切り替える必要が無くなり、一曲を通して同じ発声方法で歌うことができるようになります。
そのため、声に統一感が出て、安定感があるように聞こえるのです。
●歌の表現力がアップする
ミックスボイスが使えない場合、中音(D4辺り)より高い音は力を入れた地声でないと出すことができません。
つまり、中高音を優しい声で出したい場面があっても、出せないのです。
どうしても苦しそうな声になってしまいます。
ミックスボイスであれば中高音でも容易に優しく出すことができるので、地声しか出せない人と比べると表現の幅が段違いなのです。
ミックスボイスが出せない理由とは?
ミックスボイスが出せない理由は人によって様々です。
ここでは代表的なミックスボイスが出せない理由を紹介していきます。
呼吸法が正しくない
腹式呼吸ができていない人は、常に「息を吐く力が足りない状態」に陥ります。
そのため、大きな声や高い声を出す時に必ず喉が締まります。
これはいくらミックスボイスを出す練習をしても絶対に改善されないので、腹式呼吸ができていなさそうな気がする人はまず腹式呼吸の練習をしましょう。
声帯のコントロール不足
ミックスボイスは声帯の厚みを自在にコントロールする技術です。
分厚く縮む能力と、薄く引き伸ばす能力が高いレベルで拮抗していないと、ミックスボイスを出すことはできません。
分厚く縮む能力は地声を、薄く引き伸ばす能力は裏声を練習することで鍛えることができます。
喉に力が入りすぎている
これは特に腹式呼吸ができていない人に当てはまる症状ですが、喉を力んで発声する癖がついてしまっている人は、声を出す際に反射的に喉が力んでしまうので、力まない発声に誘導しようとしてもなかなか癖が抜けません。
この場合腹式呼吸の練習に加えて、「首と肩周りのストレッチ」を入念に行ってあげる必要があります。
特に胸鎖乳突筋・射角筋・僧帽筋などがガチガチに固まってしまいやすいので、入念にほぐしてから練習するようにしましょう。
そのようにすることで、練習効果を何倍にも高めることができます。
ミックスボイスの出し方を解説!初心者向け練習法
ミックスボイスは段階的に習得していく必要があります。
4つのステップに分けて紹介していきます。
ステップ1:腹式呼吸を習得する
●お腹を使った正しい呼吸法の練習方法
腹式呼吸は息を吸うときにお腹か膨らむ呼吸方法です。
まず仰向けになったり座ったりして、なるべくリラックスできる姿勢になりましょう。
その状態でゆっくりと深呼吸をしながら、お腹が膨らんでいるか確認してください。
この時に肩や胸が動いている場合はNGです。
肩や胸が動くのは限界まで吸おうとした時のみで、リラックスしながら深呼吸している程度ではまだ動いてはいけません。
お腹がしっかりと膨らんでいれば、横隔膜が動いて腹式呼吸ができている証拠になります。
横隔膜はトレーニング次第で上げ幅と下げ幅を増やせるので、出来ればお腹・脇腹・背中の方まで膨らむように意識して吸ってください。
吐く時も肺の空気が完全に無くなるまで吐き切ります。
そうすることで横隔膜の可動域は徐々に増えていきます。
腹式呼吸ができたら、その息を強く吐く練習もしていきます。
風船を膨らませる練習をすると良いでしょう。
「腹式呼吸で溜めた空気をお腹に力を入れて強く吐く」という動作を「腹圧をかける」と表現しますが、この「腹圧をかける」感覚は風船を膨らませることで習得できます。
風船はかなり強い腹圧が無いと膨らまないので、一息で風船を膨らませられれば腹圧をかける能力は十分だと判断できます。
①「息を吸ってしっかりとお腹が膨らむ」
②「風船を膨らませて腹圧の感覚を掴む」
ここまでが出来ればひとまず腹式呼吸は合格です。
●発声の基盤を整える重要性
発声の基盤とは呼吸と、筋肉のリラックスのことです。
この2つができていないと、いくら発声練習をしたところで強烈な喉締めからは永遠に解放されません。
「長くボイトレをしているのに、全く症状が改善されない」と悩んでいる方は多くいらっしゃいますが、ほとんどの場合は呼吸とリラックスが原因です。
しっかりと発声の基盤を整えてから、発声練習に取り組むようにしてください。
ステップ2:裏声を強化する
●裏声の安定感を高めるためのエクササイズ
裏声では声帯を薄く引き伸ばす能力を鍛えることができます。
先程「ミックスボイスは声帯を分厚くする能力と薄くする能力が高いレベルで拮抗していないと出せない」と書きましたが、ほとんどの人は普段の生活で裏声を使わないので、声帯を薄くする能力が圧倒的に欠けている場合がほとんどです。
そのため、裏声の練習は発声の基盤の次に重要な練習になります。
裏声の安定感を高めるためには、「鼻から息が抜けたハミング」を使用するのが効果的です。
喉を締めるのが癖になってしまっている人は、首周りが力むのもそうですが、「息が堰き止められている」という特徴があります。
首周りが極端に力むことで喉の中のスペースが狭まり、息を堰き止める役割を持つ「仮声帯」という器官が寄ってきてしまうのです。
この仮声帯を一旦離してしまえば、それに釣られて喉の力みも一気に解消されて、リラックスした裏声が出る可能性があります。
仮声帯は息を堰き止めるための器官なので、息を吐く動作を強調してあげれば離れます。
だから、「鼻から息を抜く」のです。
何かいい匂いを嗅いだ時をイメージして「フーン」とハミングで裏声を鳴らしてみてください。
この時、鼻から多めの息が吐き出されていれば成功です。
仮声帯が寄ってしまっていると鼻から息が抜けなくなり、「ガリガリ」といったノイズが入ってきます。
まずはクリーンな音質で、鼻から息が抜けている裏声のハミングで、裏声を綺麗に出すことに慣れていってください。
慣れてきたら、ハミングから「マ」の発音に切り替えて、ロングトーンを行いましょう。
この時に、ハミングの時の柔らかい音質のまま「マ」にすることがとても大事です。
無事に「マ」のロングトーンができたら、色々音程でロングトーンしていってください。
裏声の音域はG3〜B5まで2オクターブ以上あるので、幅広い範囲でロングトーンしていきましょう。
このように練習することで、声帯を綺麗に引き伸ばす力が格段にアップしていきます。
●強い裏声を出すコツ
綺麗な裏声が出せたら、今度は強く裏声を出す練習もしていきます。
先程は力みを解消するために離した「仮声帯」を、今度は寄せていきます。
「仮声帯」が寄ることで息を堰き止める力が働くので、強く裏声を出すために息を強く吐いても、発声が破綻しなくなるのです。
多くの場合喉締めと仮声帯が寄ることが結びついてしまっているので、仮声帯は悪だと思われがちですが、強い声を出すには仮声帯の働きは必須なのです。
まず仮声帯が離れた綺麗な裏声を身に付けた上で、今度は徐々に寄せる練習をすることで、喉締めなく仮声帯を寄せられるようになります。
練習方法としては、裏声を鋭く出す練習をします。
裏声の音質をなるべく鋭く細い音質にすると、勝手に喉仏が高く引き上げられるので、喉のスペースが狭窄し、仮声帯が寄ります。
すると、息を堰き止める力が働くので普通に裏声を出す時よりも腹圧がかけられるようになるのです。
この方法で出す裏声はキンキンとした耳障りな音質になるので、なるべくうるさくなるようにロングトーンしていきましょう。
そうすることで裏声の中に芯が入れられるようになり、地声のような力強さを持たせることができるようになります。
ステップ3:地声と裏声を滑らかに繋げる
先程登場した「鼻から息が抜けるハミング」で、地声と裏声を滑らかに繋げる練習をしてみましょう。
理由は先程と同じで、まずは仮声帯が離れた力みのない声で練習することが大事だからです。
まずA3の地声ハミングを出し、そのままゆっくり音程を上げて、A4の裏声ハミングに着地してみましょう。
途中でひっくり返ってしまう場合は、仮声帯が寄ってきてしまっている可能性があるので、鼻から息を抜いたまま上がることを意識し直してください。
とにかくひっくり返りなくスムーズに繋げることに集中しましょう。
ステップ4:喉をリラックスさせる
●力みを取るリラックスエクササイズ
ここまでの練習をする中で力みが生じて来てしまったら、一旦仕切り直してストレッチから始めてみてください。
先述の通り、首周りが力んでいると正しい発声に誘導することが難しくなります。
まずは椅子に座って真上を向き、首の前面と下顎を伸ばしましょう。
顎をしゃくらせながら軽く左右に首を振るとより広い範囲をストレッチできます。
続いてダラリと下を向き、手で軽く後頭部を押して首の後部と僧帽筋を伸ばしてください。
これも軽く左右に首を傾けながら行うと左右の肩を伸ばすことができます。
●喉が開いた感覚を覚える
喉の力みがなく発声できている状態を「喉が開いている」と表現したりしますね。
喉がリラックスしている時の感覚は「首周りに何も感じない」が正解です。
「感覚が無い感覚」が正解なのです。
もしも首や喉に引っかかりや違和感が少しでもあれば、何か間違っていると疑った方が良いです。
仮に喉を締めたような音質の声でも、上手く出せていると喉には全く違和感が無くなります。
自分の発声が正しいかどうかの一つの基準になりますので、覚えておいてください。
ミックスボイスの練習でよくある失敗とその対処法
ここではミックスボイスの練習でよくある失敗とその対処法に関して紹介していきます。
当てはまっていないかどうか常に気にしながら練習すると良いでしょう。
喉声になってしまう
喉声の特徴は首周りが力んでいることと、息が堰き止められていることです。
腹式呼吸、ストレッチ、鼻から息が抜けるハミングで3つで必ず改善できます。
焦らず、少しでも力みを感じたら呼吸とストレッチに戻るくらいのつもりで練習していけば大丈夫です。
声がひっくり返る
声のひっくり返りは、仮声帯などの息を堰き止める器官が動いて急激に空気圧が変化することで起こります。
心配せずに常に鼻から息がしっかり抜けているかを確認しながら音程の上下に取り組んでください。
だんだん滑らかに繋げる感覚がわかってきます。
高音が出ない
声帯を引き伸ばす筋力が弱いと高音は出ません。
まずは仮声帯が寄っていない綺麗な裏声で、なるべく高い音を出す練習をしてください。
徐々にですが確実に、音域は広がっていきます。
地声で高音を出したい場合は、声帯を引き伸ばす力に加えて、「腹圧と息を堰き止める力の拮抗を力みがないまま高めていくスキル」が必要です。
「パ行」や「バ行」などの、一旦唇や舌などで息を止めないと出せない発音を利用して、ちょうどいいバランスを模索してください。
適切な空気圧バランスがわかってくると、仮声帯などの息を堰き止める器官もちょうど良い空気圧バランスを覚えてくるので、唇や舌に頼らなくても良くなっていきます。
ミックスボイスを習得するためのプロのアドバイス
ここではミックスボイスの習得をさらに加速させるためのアドバイスを紹介していきます。
ボイトレでの指導が有効な理由
ボイストレーナーが何をしているのかと言うと、音質を聞いて何かエラーが起きていないか、発声が上手くいっているかを判断しています。
この作業には膨大な知識と経験が必要になるので、専門の勉強をしていない人にはできません。
そのため独学で練習をしている人は、間違った方法で練習してしまう可能性がとても高くなるのです。
最悪の場合声帯ポリープなどの病気を抱えてしまう可能性もあるので、無理せずボイストレーナーと一緒にボイストレーニングを行うことをオススメします。
継続的な練習が成功の鍵
耳の集中力は7〜8分しか持たないと言われています。
そのため、1日何時間もトレーニングをする必要はありません。
5分ほどの練習を、1日に何回かやるだけでOKです。
隙間時間にコツコツと練習してくだけで、声は確実に良くなります。
「ミックスボイスの出し方」に関するよくある質問
ミックスボイスは人によって解釈が違うので、様々な疑問が生まれがちです。
ここではよくある質問に答えていきます。
ミックスボイスを習得するまでどれくらいかかる?
ボイストレーニングは長期戦です。
歌で使えるレベルのミックスボイスを習得するには年単位の時間がかかります。
プロのアーティストと同じように歌うレベルになると、最低でも10年はかかるでしょう。
「発声練習でなら地声と裏声がスムーズに行き来できる」くらいのレベルであれば、半年くらいでしょうか。
ボイストレーニングは喉の筋力強化と神経発達を促進させる行為なので、かかる期間は筋トレやスポーツの練習などとほとんど同じです。
突然筋肉は大きくならないし、突然サッカーが上手くならないのと同じですね。
気長に、根気強く取り組みましょう。
自分の声がミックスボイスかどうか判断する方法は?
- 低音から高音まで同じボリュームで歌える
- 裏声と地声がスムーズに繋がる
- 喉の苦しさが一切無い
この3点を満たしていれば、ミックスボイスが出せていると判断してOKです。
ミックスボイスの練習におすすめの楽曲は?
歌を使ってミックスボイスの練習をするのはオススメしません。
練習段階ではほぼ100%喉が締まってしまうでしょう。
スケールを使った発声練習で、先程のミックスボイスの判断基準が完璧に満たせるようになってきてから歌っていくのが良いでしょう。
歌はミックスボイスの練習ではなく、表現を練習するものだと割り切ってください。
喉が締まっていても表現の練習はできるので、全く別物です。
歌は歌、ミックスボイスはミックスボイスで、分けて考えてください。
まとめ:ミックスボイスの出し方を学んで理想の歌声を手に入れよう
地声と裏声を繋げる練習を続けることで誰でもミックスボイスを習得できる
声帯を含めた、発声に関わる器官の構造は全人類共通です。
若干の形や大きさの差はあれど、憧れのプロ歌手とあなたの声帯の構造は同じなのです。
つまり、正しいトレーニングさえすれば誰でもミックスボイスは出すことができます。
自分には無理だと諦めてしまうのは非常に勿体無いことです。
WACCA MUSIC SCHOOLではミックスボイスの専門家から、基礎の基礎から詳しく学べます。
ボイストレーニングはボイストレーナーと一緒に行うのが最も効率的なので、気になった方はぜひ無料体験レッスンにお越しください。
最短最速で、あなたをプロレベルのミックスボイスへと導きます。
良いボイトレライフを送りください!
それでは!