「腹から声を出せ」といわれることはあっても実際にどうだすのかわからない！

そんな方に感覚を身につけるための具体的な方法について、段階的にわかりやすく解説していきます。

ミュージカルやカラオケ、普段の会話でも役立つ発声の基本になるので、ぜひ最後まで読んでみてください

腹から声を出すための第一歩は腹式呼吸

歌でも演技でも「お腹から声を出して」とよく言われますが、その意味をきちんと理解できている人は意外と少ないかもしれません。

ここでは、腹式呼吸がなぜ発声の土台とされるのかを紐解いていきます。

腹式呼吸が腹から声を出すことと言われる理由

通常われわれは会話などでは胸式呼吸をおこなっています。

胸式呼吸では肋骨に邪魔されてあまり息を吸い込むことができず、そのため肩をあげたり胸を開くことで少しでも息を多く取り入れようという呼吸法になります。

サッカー選手などを見るとわかりやすいですが、早く走った後に肩を上げ下げして呼吸していますよね？

あれが胸式呼吸になります。

胸式呼吸は酸素を取り入れるという意味では息の入れかえを早くできるため有効ですが、歌う際に大事なのは酸素の量よりも１度に取り入れられる息の量になります。

その点腹式呼吸を行うと１度に取り入れる息の量が格段に多くなっていきます。

なぜなら腹式呼吸とは、横隔膜を下げて肺にしっかりと空気を取り入れ、ゆっくり安定した息を吐くことができる呼吸法だからです。

この際横隔膜の下にある内臓が押し出されてお腹が前にでてきます。

そのためまるで「お腹に空気を入れているように見える」ので「腹から声をだせ！」といわれるのですね。

あたりまえですが空気が入っているのは肺であり、お腹ではありません

腹式呼吸の効果

腹式呼吸ができるようになると「大きい声」「長い声」「高い声」が楽に出せるようになります。

試しに立ったたまま「あ」と発音したあとに、寝転がってあおむけに天井に向かって「あ」と発音してみましょう。

歌を歌うのでもいいです。

最初立っていたときよりも楽に『響く声』が出せることに気づくと思います。

これはあおむけに寝ている状態では腹式呼吸になりやすいため、その息の流れだと簡単に響く声が作れるのです。

あとは首周りの筋肉、口の中や表情筋を使って響きを整えてあげると喉に負担をかけずに高い声までしっかりとアプローチができるようになっていきます。

腹式呼吸を感じよう

まずベッドに仰向けになってください。

そしてしばらく深く呼吸を続けてあげます。

すると、お腹が動くのが確認できると思います。

それが腹式呼吸です。

それを体をおこした状態でするのには少しコツがあります。

まず息を吐くことに注意してあげましょう。

そのうえで息を吐ききったら鼻から息を吸ってあげます。

どうですか？少しお腹がふくらみませんか？

あとはこれで吸い込める息の量をしっかりとふやしていくことが大事です。

正しい発声のポイントとその感覚

「腹から声を出す」ことができるようになるためには、呼吸だけでなく声の響かせ方にも注意が必要です。

ここでは、腹式呼吸からさらに踏み込んで、自然で無理のない正しい発声について掘り下げていきましょう。

声は「押し出す」のではなく「乗せる」

発声をする際に、力んで声を出そうとしていませんか？

特に初心者に多いのが、喉にぐっと力を入れて声を出すという方法です。

これは一時的に大きな声は出ますが、長続きしませんし、声が枯れたり喉を痛める原因になります。

正しい発声のコツは、息に声を「乗せる」ようなイメージを持つことです。

息をベースにして、その流れの上に声がふわっと乗る。

ちょうど浮き輪の上に体を預けて水に浮かぶように、声も息に預けて出していくのです。

感覚が掴みづらいひとは１度仰向けに寝転んで声を楽に出してみましょう。

この感覚がつかめると、声が無理なく遠くまで届くようになり、マイクなしでもしっかりと通る声が手に入ります。

喉で頑張るのではなく、息の流れで声を出すという方向にシフトしていくことが大事です。

響きを感じる「共鳴ポイント」を使おう

通る声、響く声を出すには、「共鳴」を上手に使うことが重要です。

声が響く場所、それが共鳴させる場所です。

たとえば、ハミングをすると鼻の奥や頭が振動する感覚があると思います。

この振動を感じる場所が、声の響きが集まるポイントになります。

「鼻腔共鳴」や「口腔共鳴」など、声が通る道筋はいくつかありますが、最初は自分がどこで響きを感じやすいかを観察してみるのがおすすめです。

声を出したときに、頭や胸が共鳴している感覚があるか？

鼻の奥がビリビリしているか？

そういった体感が、正しい発声へのヒントになります。

拡声器を想像してもらえるとわかりやすいでしょう。

もともとの声がどんなに大きくても拡声器にスイッチが入っていなければ遠くまで響かないように、共鳴をつかわなければいくら腹式呼吸で響く音を手に入れたところでとおくに飛ばすことはできないでしょう。

口腔共鳴を出してみよう

まず顎を下げて口の中の空間を作ってあげます。

そのあとに喉の奥の空間をあけます。

よくいわれているのが「あくびのときの喉」にしてあげること、奥がひらいて響きが広がるのがわかります。

その声で寝そべって「あー」と声をだしてあげましょう。

力を入れずに響く声がでるのが実感できると思います。

腹から声を出すためのトレーニング法

それではいよいよ具体的なお腹から声を出すためのトレーニングを見ていきましょう。

どれも腹式呼吸を強化するための大事な練習ばかりです。

ロングブレスで息の支えを鍛える

まず最初に取り組みたいのが、ロングブレスです。

これはお腹の力（腹圧）を使いながら、息をゆっくりと長く吐き続ける練習。

腹式呼吸の感覚を育てる土台になります。

ゆっくり息を吸い込む＜4秒＞

鼻から息を吸い、お腹がふくらむのを感じましょう。

胸ではなくお腹が動くことを意識します。

息を「スー」と吐く＜10秒＞

このとき、お腹が凹んでいく力を打ち消すようにお腹をおおきく保つ外に膨らむ力を意識してあげましょう。

あくまでも呼吸は一定で。

慣れてきたら15秒、20秒と時間を伸ばしていきましょう。

こういったかたちでリズムに合わせて息を吐いてあげるかたちでも大丈夫です。

ポイントは「長く・安定して・お腹を使って」吐くこと。

音を出さなくても、これだけで声の支えが変わってきます。

最初は全然長くできないよ！

という人も続けていくうちに確実に息が強くなっていくことをじっかんできるのでぜひ続けてください。

腹圧をつかっていろいろな母音を発声してあげる

次は呼吸の流れだけでなく、腹式呼吸で鍛えた腹圧を実際の「声」に変えていく練習をしてあげます。

おすすめなのが、母音発声です。

特に「い・え・あ・お・う」といった基本の母音を腹圧を使って発声してあげることでお腹をつかった発声を意識することができるようになってきます。

やり方はとてもシンプルです。

ピアノの音などにあわせて１音ずつ音をあげてあげます。

この際息を切らずに

「イエアオウ」と６カウントくらい続けて発音してあげます。

高くなるにつれ音を安定させるのも、腹圧をたもつのも大変なのがわかるかと思います。

ピアノがひけないひとはこういった音源をつかって練習してあげましょう

続けていくうちに声が明瞭に、響きがよくなっていくことがわかるかと思います

録音を使った共鳴チェック

腹式呼吸で作った息と声を「どこに響かせるか」で、聞こえ方は大きく変わります。

ここでは録音を使った共鳴をチェックする方法をご紹介します。

まず鼻腔や口腔に特化したボイストレーニングの音源を使って練習してみます。

こういった音源を使い、自分がやってみた歌い方と何がちがうのか録音と聴き比べてみましょう。

次第に音源の響きに近づいていくと、自分の声も響きが良くなっていることに気がつくはずです。

自分も歌手の歌声を何度も練習したあとに原曲と聴き比べてみると全然ちがったり、そのことから歌い方をかえたりしてみました。

それをつづけてあげるだけでしっかり響きがいいものになっていきました。

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まとめ

いかがだったでしょうか。

「腹から声を出す」と聞くと難しく感じるかもしれませんが、実は正しく呼吸をコントロールして響かせてあげるだけで、いわゆる「腹から出ている」声というのが出せるようになります。

基本的には複式呼吸、つまりインナーマッスルの筋トレが鍵になるので

無理せず、しかし少しずつ続けることが大事になってきます。

今日明日のトレーニング結果に一喜一憂せずに、モチベーションをもってゆっくりと成長していきましょう。

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