歌謡曲の特徴を紐解くことで、普通のポップスとは違う歌い方で正しくうたうことができます。
まずは特徴を正しく理解して、カラオケでたのしく歌謡曲を歌えるようになっていきましょう!
昭和歌謡の特徴
まずは昭和歌謡における「音」に着目していきましょう。
音楽の構造を知ることで、それぞれに適した歌い方が見えてきます。
昭和歌謡にある「終わりの音」
歌謡曲を知る上で欠かせないのが「機能和声」です。
少し専門的な響きですが、簡単にいうと「曲がどこに帰りたがっているか」を決めるルールのようなものです。
このルールは次の3つの伴奏やメロディからできあがっています。
トニック(T):曲のホームグラウンド。ここに戻ると落ち着く音
ドミナント(D):緊張が最高に高まった音
サブドミナント(S):TとDの間の役割、緊張が高まっていく音
昭和歌謡はこの Tに着地する、「家に帰ってくる」という 感覚がとても強く作られています。
たとえば坂本九さんの「上を向いて歩こう」では、メロディがかならずこのトニックに優しく着地します。
難しそう?
大丈夫です。
ここで言いたいのは、「どんな音に着地するのか」を考えながら歌うようにするだけで、歌いやすさが段違いに変わるということです。
安心する音はどこか、それを意識しながら歌って見るようにしましょう。
昔の歌謡曲に多い「ヨナ抜き音階」の特徴
昭和歌謡のメロディが「日本的で懐かしい」と感じる理由のひとつがヨナ抜き音階(ミとラを抜いた五音音階)です。
この音階は日本の民謡や演歌にも共通していて、日本人が慣れ親しんだ楽曲の感じを自然に作ってくれます。
歌うときも、この日本語にあった曲の雰囲気にあわせて
・ 言葉を丁寧に発音する
・フレーズの「間」を大切にする
・ビブラートや揺れでニュアンスを乗せる
などしてあげると、曲そのものが持つ情緒とよく馴染みます。
歌詞の扱いの違い
歌詞の扱い方も歌謡曲と現代の曲では大きく異なります。
昭和歌謡は、基本的に「歌詞の意味を届ける歌」であることが前提である一方、現代の曲は歌をある種楽器として使い、素早いリズムや強い音で楽曲を積極的に作りにいきます。
裏を返せば昭和歌謡では、歌詞の意味をしっかり伝えることが重要になるということです。
しっかりと<誰が><誰に><何を>伝えようとして歌っているのか、想像して歌うようにしましょう。
例えば、「木綿のハンカチーフ」では変わらないでほしいという願う女性の気持ちを、男性の移ろう心と見事に対比させて楽曲に昇華しています。
これは現代に多い早い楽曲ではなかなかこの雰囲気を伝えるのが難しいのではないでしょうか。
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歌謡曲と演歌の違いと共通点
よく誤解される歌謡曲と演歌。
ここでは両者がどのように違う音楽なのかを、歌い方・成り立ち・違いと共通点の3つの視点から整理していきましょう。
歌唱法が違う
歌謡曲と演歌は、まず歌い方そのものが大きく異なります。
歌謡曲は現代ポップスに近い発声が使われることが多く、ミックスボイスやビブラートを使うことが多いです。
また、まっすぐ伸ばすロングトーンなども特徴としてみられます。
一方で演歌は、こぶし(音を上下させる独特の装飾音)または低音域からうなるように響かせる発声がメインとなっています。
「泣き」といった表現をみせることも多く、喉の奥を深く使う発声が多くなります。
なりたちが違う
曲の歌い方だけでなく、そもそもの成り立ちに大きな違いがあります。
歌謡曲という言葉はとても広く、「その時代の大衆に流行した歌」をまとめて指す傾向があります。
昭和歌謡、ニューミュージック、フォーク、初期のJPOPに近いものまで含んでしまうほど幅が広いジャンルです。
一方意外かもしれませんが、演歌の起源は民謡ではなく、社会風刺や政治的な演説歌だと言われています。
いま私たちがイメージする「演歌らしい歌い方」が定着したのは比較的新しく、藤圭子さん・森進一さんが活躍した頃に強くイメージが固まりました。
さらに近年の研究では、演歌の歌い方はR&B、ブルース、黒人音楽の唱法といった海外の歌唱法の影響も指摘されています。
つまり「演歌=民謡がルーツ」という一般的イメージは実は誤解で、
もっと複雑で思ったよりは新しい歴史を持つジャンルなのです。
共通するもの
違いばかりが注目されますが、両者には重要な共通点もあります。
歌謡曲も演歌も、歌詞の意味を運ぶことを最優先に考えている音楽です。
どちらのジャンルも、言葉をはっきり発音し、歌詞が持つ情景や物語をしっかり聞く人に届けようという思いが伝わります。
だからこそどちらも歌詞の読み込みが非常に大事になってきます。
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昭和歌謡の練習にぴったりな楽曲を、男女別に紹介します。
どれも歴史に残る名曲で、音楽的にもボイトレ的にも学べるポイントが多い曲ばかりです。
男性歌謡曲
◆坂本九「見上げてごらん」
坂本九の定番曲。昭和歌謡の代表的音楽です。
日本人らしい言葉の雰囲気で、「前ノリ」の基礎を学ぶのにも最適です。
◆さだまさし「関白宣言」
語りの比率が高く、歌い上げるだけでない歌詞の運び方が極めて重要です。
昭和のフォーク・ミュージックにはこういった音ののせかたがよくありました。
◆尾崎紀世彦「また逢う日まで」
力強い地声と柔らかさの両立が必須。
昭和歌謡の「ダイナミクス」を学びたい方におすすめ。
女性歌謡曲
◆ちあきなおみ「喝采」
歌のうまさとメッセージの融合が見事というほかありません。
語りと歌の境界を学べる貴重な楽曲です。
◆松田聖子「赤いスイートピー」
軽やかで繊細なメロディラインが特徴。
こういった可愛らしい曲も歌謡曲のよいところですね。
鼻腔共鳴の練習にとてもむいています。
◆太田裕美「木綿のハンカチーフ」
歌詞の意味を深く理解しないと歌えない楽曲。
情景描写や「感情の移ろい」を細かく捉える必要があります。
Q&A
Q1:歌謡曲にミックスボイスは必要ですか?
A:はい。使えることで表現の幅が大きく広がります。
歌謡曲で使われているミックスボイスには、実はたくさんのグラデーションがあります。
「裏声寄りの柔らかいミックス」から「芯の残る地声寄りのミックス」まで、曲に応じて細かい調整が必要です。
Q2:最近のポップスは大丈夫なのに歌謡曲はうまく歌えません、どうすればいいでしょう?
ポップスは音程が当たっていればアップテンポな曲は特にごまかしがききます。
情感をつたえることに重きをおく歌謡曲で同じことをやるとやや平坦で古い感じになってしまいます。
しっかりと歌詞の意味や背景を読み込みましょう
Q3:ビブラートはどれくらい使えばいい?
歌謡曲では「語尾を少し揺らす」程度が自然です。
深く揺らし深いゆらぎになってしまいすぎると、演歌のようになってしまいます
Q4:歌が長くて息が続きません
昭和歌謡は言葉数はすくなくても、長く伸ばす音は現代の曲より割合的に多いです。
まずはしっかりと基礎の呼吸を練習するようにしましょう
まとめ
普段ポップスを聞いていると、歌謡曲の歌い方に戸惑うことがあるかもしれません。
ですが、その特徴を理解して歌うことで、今よりさらに自由に歌いこなせるようになります。
特に現代ではSNSを通じて昔の名曲は年代に限らず耳にするようになっています。
すこし歌謡曲を口ずさんだときに「おっ」っと思ってもらえるように、まずはイチからトレーニングをしていきましょう!
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