エッジボイスとは?出し方から使い方まで
こんにちは、ZIG ZAG MUSIC SCHOOLです!
好きなアーティストの歌い出しで、「ア゛…」と少しかすれたような、独特の声が入るのを聴いたことはありませんか?
あのような「ア゛ア゛ア゛」と粒が連なったように聞こえる声は、「エッジボイス」と呼ばれる発声の1つです。
英語では「ボーカルフライ(vocal fry)」などと呼ばれることもあります。
歌の中では、フレーズの歌い出しなどに短く取り入れることで、切なさや感情を表現するために使われることがあります。
とはいえ、どうやって出すのか分からず、まねしようとして喉に力が入ってしまう方も多いのではないでしょうか。
私自身も、ボイストレーニングに通い始めるまでは、エッジボイスという発声を知りませんでした。
この記事では、実際にボイストレーニングで教わった経験をもとに、エッジボイスの出し方を初心者向けに4つのステップで紹介します。
さらに、出せるようになったあとに、歌の中でどのように使えばいいのかまで解説します。

エッジボイスは「低く・小さく・息を少なく」を意識して練習しよう
エッジボイスを練習する時は、「低く・小さく・息を少なく」を意識してみましょう。
エッジボイスは、「ア゛ア゛ア゛」というように、1つひとつの振動が荒い粒のように聞こえる低い声です。
寝起きに低い声を出した時や、とても低い声を小さく出した時に、似た音が自然に出ることもあります。
歌の中でエッジボイスがどのように使われているのか、宇多田ヒカルさんの「Automatic」を聴いてみましょう。
Aメロ00:52~の「メロディー」の部分に注目すると、普段の声に混ざるエッジボイスの質感を感じ取りやすくなります。
エッジボイスは大きくガラガラした声を作ろうとするのではなく、楽に出せる低い声を小さな音量で出しながら、声が「ブツブツ」とした状態へ変わるポイントを探すのがコツです。
ただし、声の出しやすい高さや感覚には個人差があります。
喉が苦しくならない範囲で試してみましょう。

エッジボイスの出し方【4ステップ】
ここからは、エッジボイスを出して、実際の歌へつなげるまでの流れを4つのステップで練習します。
自分の声を客観的に確認できるように、スマートフォンなどで録音しながら練習するのがおすすめです。
喉に痛みや強い違和感が出た場合は、無理に続けず練習を中止してください。
ステップ1. ため息のような「あー」から低い声へ下げる
まず、肩や首に余計な力が入らない姿勢を作ります。
その状態で、ため息をつくような感覚で、小さく「あー」と声を出してみましょう。
そこから、喉を押し込んだり力んだりしない範囲で、ゆっくり声を低くしていきます。
低くしていく途中で、なめらかな「あー」ではなく、「ア゛ア゛ア゛」と粒が分かれて聞こえるような声になるポイントがあります。
まずは「低い声を出すこと」よりも、喉が楽な状態のまま、声が粒状に聞こえるポイントを見つけることを目標にしましょう。
なかなか出ない場合は、さらに低くしようと力むのではなく、一度普通の声へ戻してからやり直してみてください。
ステップ2. 息を増やしすぎず、粒のある声を続けてみる
ステップ1で「ア゛ア゛ア゛」という声が出たら、その状態を2~3秒だけ続けてみましょう。
この時のポイントは、息を勢いよく吐きすぎないことです。
息の量を増やすと、エッジボイス特有の粒がなくなり、息っぽい声や普通の低い声へ変わってしまうことがあります。
口の前に手のひらを置き、強い息が当たり続けていないか確認してみるのも1つの方法です。
「ア゛ア゛ア゛」という粒が聞こえ、喉に痛みや強い力みがなく、無理なく続けられていればOKです。
長時間続ける必要はありません。
一度声を止めて休みながら、何度か試してみましょう。
ステップ3. エッジボイスから普通の声へつなげる
エッジボイスが出せるようになったら、次は普通の声へつなげてみます。
最初に「ア゛…」と短くエッジボイスを出し、そのまま「あー」という普通の声へ移ってみましょう。
最初はエッジボイスの部分が少し長くても構いません。
慣れてきたら、歌い出しの直前にほんの少しだけ粒が入るように、エッジボイスの部分を短くしていきます。
「ア゛……あー」と完全に分かれてしまうのではなく、「ア゛あー」と1つの声の流れとしてつながる状態を目指してみましょう。
スマートフォンで録音すると、自分ではつながっているつもりでも、途中に息や無音が入っていないか確認しやすくなります。
ステップ4. 歌い出しの1音目に短く入れてみる
最後に、実際の歌へ取り入れてみます。
最初は「あ・い・う・え・お」など、母音から声を出し始めるフレーズで試すと、エッジボイスから歌声へつなげる感覚を確認しやすくなります。
まずはエッジボイスを入れずに普通に歌って録音します。
次に、1音目の直前から頭にかけて、ごく短く「ア゛」というエッジボイスを加えて歌ってみましょう。
そして、2つの録音を聴き比べてみます。
エッジボイスを入れた方だけ歌い出しに小さな引っかかりや質感が加わり、その後は普段の歌声へ自然につながっていればOKです。
フレーズ全体がガラガラした声になってしまう場合は、エッジボイスを入れる時間を短くしてみましょう。
ZIG ZAG MUSIC SCHOOLの「ボーカルレッスン」でいい歌声を作ろう!
エッジボイスはなぜ「ア゛ア゛ア゛」と聞こえる?
声は、喉の中にある声帯という左右一対の組織が、呼気によって振動することで生まれます。
普段の話し声や歌声では、この振動が速く繰り返されるため、私たちの耳には一つにつながった声として聞こえます。
一方、エッジボイスでは、通常の発声とは異なる低い振動数や振動の仕方になり、1回1回の振動が「ア゛ア゛ア゛」と粒のように聞こえやすくなります。
このため、エッジボイスは普通の低い声とは違う、独特の質感を持っています。
大切なのは、エッジボイスを「喉を強く締めて作るガラガラ声」と考えないことです。
エッジボイスを出そうとして喉を締めつけたり、大きな音量で無理にガラガラした音を作ったりする必要はありません。
低い声を小さく出しながら、必要以上に息を増やさず、粒のある声が出るポイントを探してみましょう。
エッジボイスを歌に入れるとどんな効果がある?
エッジボイスは、出せるようになること自体がゴールではありません。
歌の中で使うことで、フレーズに普段とは違った質感を加えることができます。
特に使いやすいのが、歌い出しやフレーズの頭です。
普通に「あー」と歌い始めるところへ、ごく短い「ア゛」を加えることで、声の入り方に小さな引っかかりが生まれます。
曲や歌い方によっては、それが切なさ、けだるさ、繊細さなどの表現として聞こえることがあります。
ただし、エッジボイスは「たくさん入れるほど上手く聞こえるテクニック」ではありません。
曲の雰囲気や歌詞に合わせて、「ここに入れると表情がつく」と感じる場所を選んで使うことが大切です。
同じフレーズを「普通に歌う」「エッジボイスを入れて歌う」の2パターンで録音し、どちらが曲の雰囲気に合っているか聴き比べてみるのがおすすめです。

エッジボイスが出ない時に確認したい3つのポイント
1. 大きな声を出そうとしていないか
エッジボイスをはっきり聞かせようとして音量を上げると、普通の声へ戻ったり、喉に余計な力が入ったりすることがあります。
最初は人に聞かせるためではなく、自分で確認できる程度の小さな声で練習してみましょう。
2. 無理に低い声を出そうとしていないか
「低いほどエッジボイスになる」と考えて、自分の出しやすい音域よりも無理に低い声を出す必要はありません。
低い声へ少しずつ下げながら、喉が楽な状態で粒状の声になる場所を探してみましょう。
3. 喉を締めてガラガラした声を作っていないか
エッジボイスを「かすれ声」や「がなり声」のように考えると、喉を強く締めてしまうことがあります。
喉が苦しい、痛い、ヒリヒリするといった感覚がある場合は、そのまま続けないでください。
「それっぽい音を無理に作る」よりも、「楽に出せる範囲で粒のある声を探す」ことを優先しましょう。

ボイトレで初めて知ったエッジボイスで、歌のバリエーションが増えた話
ここで、私自身の話をさせてください。
私は学園祭で初めて人前で歌った事をきっかけに、歌をもっと学びたいと思い、ボイストレーニングに通い始めました。
エッジボイスという言葉を初めて聞いたのは、そのレッスンの中でした。
それまでの私は、好きなアーティストの歌に入っている「ア゛…」という声を、たまたま出た音のようなものだと思っていました。
ところがボイストレーナーから、それがエッジボイスという発声で、歌の表現として狙って使うこともできると教わりました。
実際に練習してみると、最初は「それっぽい音を出そう」として喉に力を入れてしまい、うまく出せませんでした。
そこで、トレーナーから小さな声で、無理に力を入れずに試すよう教わりました。
すると、「ア゛ア゛ア゛」という、それまで意識して出したことのなかった声が出るようになりました。
さらに印象に残っているのが、エッジボイスを歌い出しの表現として使う方法です。
同じフレーズでも、普通に歌い始める場合と、最初にほんの少しエッジボイスを入れる場合では、声の表情が変わります。
エッジボイスを知ったことで、「普通に歌う」だけではなく、「歌い出しに少し質感を加える」という選択肢が増え、歌の表現の幅が広がりました。
発声は、文章だけでは「自分の出している声が本当に合っているのか」を判断しにくい部分でもあります。
特に、エッジボイスを出そうとして喉へ余計な力が入っている場合は、自分では気づきにくいこともあります。
講師に直接声を聴いてもらうことで、今の発声を確認しながら練習できます。
ZIG ZAG MUSIC SCHOOLの「ボーカルレッスン」でいい歌声を作ろう!よくある質問
Q. エッジボイスと「がなり」は同じものですか?
A. 同じものではありません。
どちらも通常の歌声とは違った質感を持つため、初心者のうちは似て聞こえることがありますが、発声の仕方や歌の中での使われ方は異なります。
エッジボイスを練習していて、喉を強く締めたり、大きなガラガラ声を出したりしている場合は、一度音量を下げてみましょう。
Q. エッジボイスの練習で喉を痛めることはありませんか?
A. エッジボイスだから必ず喉を痛めるというわけではありませんが、無理に喉を締めたり、痛みを我慢して繰り返したりするのは避けましょう。
練習中に痛み、ヒリヒリ感、強い違和感などが出た場合は、その時点で練習を中止してください。
声がかすれた状態が続くなど、普段と違う状態が続く場合も、無理に練習を再開しないようにしましょう。
Q. エッジボイスは声帯閉鎖の練習になりますか?
A. エッジボイスを、歌声へつなげるための発声練習として取り入れることはあります。
ただし、「エッジボイスを出せば必ず声帯閉鎖が強くなる」と単純に考える必要はありません。
歌声の息っぽさや声の出しにくさには、呼吸、音域、発声のバランスなどさまざまな要素が関係します。
エッジボイスだけを長時間繰り返すより、普通の声へ自然につなげられるかを確認しながら練習してみましょう。
Q. 1曲の中で、どのくらいエッジボイスを使えばいいですか?
A. 「1曲に何回」という決まりはありません。
エッジボイスは表現方法の1つなので、曲調や歌詞、アーティストの歌い方によって適した場所は変わります。
初心者のうちは、まず1つのフレーズだけで「入れた場合」と「入れない場合」を比較してみると違いを確認しやすいです。
使える場所すべてに入れるのではなく、「ここに入れると曲の雰囲気に合う」と感じる場所を選びましょう。
Q. 「か」や「さ」など、子音で始まる歌詞でもエッジボイスは使えますか?
A. 使うことはできます。
ただ、最初は「あ・い・う・え・お」など、母音から始まる声で練習した方が、エッジボイスから通常の声へつなげる感覚を確認しやすいでしょう。
母音で安定してできるようになったら、実際の歌詞の中でも試してみてください。

まとめ:エッジボイスを使いこなして、歌を更に楽しもう
エッジボイスは、「ア゛ア゛ア゛」と、声の振動が粒のように聞こえる発声です。
初めて練習する場合は、次の順番で試してみましょう。
- ため息のような「あー」から、無理のない範囲で低い声へ下げる
- 息を増やしすぎず、粒のある声を短く続けてみる
- エッジボイスから普通の「あー」へ自然につなげる
- 歌い出しの1音目に、ごく短く取り入れてみる
大切なのは、「ア゛ア゛ア゛」という音を無理に作ることではなく、喉に強い力を入れず、楽に出せる範囲でエッジボイスを探すことです。
出せるようになったら、それ自体を繰り返すだけではなく、普通の声へつなげたり、実際のフレーズへ短く取り入れたりしてみましょう。
私自身も、ボイストレーニングでエッジボイスの存在と使い方を知ったことで、歌い出しの表現に新しい選択肢が増えました。
エッジボイスは「出せるかどうか」だけではなく、「どこで、どのくらい使うか」まで意識すると、歌の表現として活かしやすくなります。
ただ、正しく力が抜けているか、歌の中でどこに入れると効果的かは、1人では判断しにくいこともあります。
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