こんにちは。
ZIGZAG MUSIC SCHOOLの吉松です。
前回までに基本的なプラグインの説明が終わったため今回からその他のプラグインの説明を行なっていきます。
サチュレーター
サチュレーターは、アナログ機器に大きな音声信号が送られた際に生じる音の歪み、つまりSaturation(サチュレーション)をデジタル環境で再現するために使われるエフェクトプラグインです。
サチュレーションは、音に厚みや暖かみを付け加えることができるため重宝されます。
アナログ機器ならではの歪みは、デジタルで起こるハード・クリッピングとは異なり、ソフト・クリッピングと呼ばれる緩やかな歪みで、適度な倍音が付加されることで音の豊かさや暖かさが生まれます。
サチュレーターを使用することで、デジタルサウンドにアナログ機器特有の暖かみや質感を加え、付加される倍音により音の迫力や立体感、存在感が増し、音にまとまり感を持たせることにも効果的です。
サチュレーターは、元となる音のキャラクターを大きく変えずに音に厚みや質感を持たせることを目的に使用される点で、オーバードライブやディストーションといった他の歪み系プラグインと異なります。
テープシュミレーターもこのカテゴリーに含まれ、音に大きな変化をつけるというより、自然な歪みを与えてアナログ感を出すことに使用されます。
テープシュミレーター
サチュレーター内でも軽く触れたテープシミュレーター(Tape Simulator)は、アナログのテープマシンを再現したプラグインです。
アナログテープならではのサチュレーションやピッチのゆらぎを再現し、クリーンで硬すぎるミックスにアナログならではの温かみを加えることができます。
テープシミュレーターは、テープ感を加えたい単一のトラックにかける、ミックスのすべての個別のトラックにかける、ドラムバスやマスターバスなどにバストラックにかける、マスタリング時にかけるなど、信号経路のどこにでも適用できます。
トランジェントシェイパー
コンプレッサーと同様にトランジェント(音の立ち上がり)素材を制御し、音響的なインパクトを与えるために使用されます。
コンプレッサーがスレッショルドに依存してゲインリダクションを行うのに対し、トランジェントシェイパーは振幅の急激な変化に基づいて自動的にトランジェントを特定します。
そのため、小さなトランジェントと大きなトランジェントに対して同様の方法で音を形成できます。
トランジェントシェイパーは、特に信号のダイナミクスレンジが広い場合に、トランジェントのエンベロープを形成するためにコンプレッサーよりも優れた選択肢となり得ます。
「音量を変えたくないが聴感状目立たせたい・前に出てきて欲しい」時に使用することが多いです。
ステレオイメージャー
ステレオイメージャーは、別名「ステレオエンハンサー」とも呼ばれ、サウンドの広がりや傾きなど音像をコントロールできるエフェクターです。
音像とは、音を再生したときに感じる「広がり感」「聴こえる方向」「音の距離感」などを総称する言葉です。
ステレオイメージャーは、ステレオ音源にのみ有効で、音の広がりをコントロールでき、中には方向までコントロールできるものもあります。
広がりすぎた音像を狭めたり、元々広がりのあるサウンドをさらに強調したりする、セクション全体の定位と広がりを調整したりするなどの使用例があります。
ただし、位相ズレが発生しやすく、音がぼやけたり不自然な広がり方になったりする場合があるため注意が必要です。
ダブラー系
「ダブラー」とは、トラックにダブリング効果を与えるプラグインです。
ダブリング効果とは、元の音源に対して、ピッチやタイミングをわずかにずらした音を重ねることで、音に厚みや広がりを与える効果のことです。
本来トラックを複製した後波形のタイミングをずらしたりなどで行うダブリング処理を少しノブを回すだけで完結する時短系プラグインになります。
このダブラープラグインを使用することで、トラックに厚みを与える、オケにトラックを馴染ませる、音像を左右に広げるなどの効果を得ることができます。
上記のステレオイメージャーとダブラーは両者とも音像の「広がり」に影響を与えますが、その基本的な仕組みと目的が異なります。
ダブラーは「音を重ねて厚みと広がりを作る」のに対し、ステレオイメージャーは「既存のステレオ信号の広がり感を操作する」と言えます。
最後に
歪み系やトランジェントシェイパー、ステレオイメージャーは無くてもMIX作業は行えるプラグインではありますがどれもクオリティの向上には欠かせないプラグインとなりますのでこの記事を機会に知識をつけてもらえればと思います。