どうも、DinoJr.です!
今回取り上げたいのは、現代ジャズからヒップホップ、R&Bまでを自在に横断するピアニスト/プロデューサー Robert Glasper(ロバート・グラスパー) です。
Robert Glasperとは?
グラスパーを一言で表すなら、“ジャンルの境界を無効化した人”。
ジャズの即興性を土台にしつつ、ヒップホップ的なビート感、R&Bのメロウさ、ゴスペル由来のスピリチュアルな響きを自然に融合させる。
そのスタイルは2000年代以降のブラックミュージックに決定的な影響を与えました。
彼が大きく注目を集めたのは『Black Radio』(2012)。
Erykah Badu、Mos Def、Bilal、Lupe Fiascoなど錚々たるゲストを迎え、ジャズアルバムでありながらグラミーで「Best R&B Album」を受賞しました。
この作品は「ジャズ=難解」というイメージを崩しつつ、ジャズの精神性をヒップホップやR&Bに橋渡しする役割を果たしたと言えます。
魅力
グラスパーの演奏の特徴を挙げると、まずコードワークの豊かさ。
彼はクラシックなジャズ・ヴォイシングを下敷きにしながらも、テンションを大胆に重ねたり、不協和を“美しい揺らぎ”として響かせるセンスがあります。
特にゴスペル的な和声処理は、彼のルーツを強く感じさせる部分で、シンプルなコード進行でも深みを与えている。
次にリズムの扱い方。
グラスパーのピアノはドラム的でもあり、ビートに対して常に“ずらし”や“溜め”を意識している。
この感覚はヒップホップと強く結びついていて、実際に彼はJ Dillaのビート感を公言して取り入れています。
そのため、彼のジャズは「スウィング」ではなく「ヒップホップ的な揺れ」で聴かせる。
これが新しい世代にとってのジャズの扉になったんだと思います。
さらに忘れてはいけないのが、プロデューサー的視点。
グラスパーはソロピアニストというより「音の場をデザインする人」に近い。
彼が関わる作品では、空間の余白やサウンドの質感にまでこだわりが感じられます。
特に鍵盤の音色選びやエフェクトの使い方は、従来のジャズピアニストとは一線を画していて、ローズやシンセを駆使しながらサウンド全体を統括している。
シーンの文脈で見ると、グラスパーはジャズとヒップホップの融合を本格的に押し進めた存在の一人です。
90年代にはAlready Gang StarrやA Tribe Called Questなどがジャズサンプリングを行っていましたが、それはあくまで“引用”にとどまっていました。
一方グラスパーは、生演奏のジャズミュージシャンがヒップホップのリズムやサウンドを内側から取り込み、オリジナルな音楽に昇華させた。
だからこそKendrick Lamarの『To Pimp A Butterfly』にも参加し、現代ヒップホップの金字塔にジャズの息吹を吹き込むことができたんだと思います。
個人的にグラスパーから学べることは、“ジャンルの言語を複数話せること”の強さ。
彼はジャズの文法も、ヒップホップのグルーヴも、R&Bの歌心も等しく理解しているからこそ、それを自由に行き来できる。
「自分の音楽ももっと多言語的でいいんだ」と思わせてくれる存在です。
まだ聴いたことがない人は、『Black Radio』シリーズから入るのがおすすめですが、ジャズ寄りに聴きたいなら『In My Element』、ヒップホップとの親和性を体感するなら『ArtScience』やKendrickの作品を追ってみるのも面白いと思います。
きっと「ジャズってこんなに今っぽく響くのか」と感じられるはずです。
DinoJr.でした!
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