こんにちは!
ZIGZAG MUSIC SCHOOLでイラストのレッスンを担当してます、りえ です!
普段私は漫画家として活動しているのですが、
今回は自分の専門分野である漫画の視点から、絵についてお話してみようと思います。
絵がうまくないと漫画は描けないの?
私は保育現場での勤務経験があるのですが、
子どもに絵を描いてあげたら
「先生、絵うまいね!漫画家になれるんじゃない!?」
と言われたことがあります。
絵がうまい人=漫画家!ってイメージ、やっぱりありますよね。
絵がうまくないと漫画は描けない?と思われがちですが、そんなことはありません!
漫画にとっての絵(画面)は
キャラクターが、どんな状況で、どんな感情なのかを表現することが大事です。
たとえばこれはどうでしょう?
丸の中に表情を描いて、手足っぽい線を足して、ふきだしにセリフを書く。
どんな生き物なのか謎ではありますが…
・お腹ペコペコなんだな
・それにしても食いしん坊だな
・歩いてどこかに向かってるんだな
などなど、なんとなくこのキャラクターの性格や今の状況、感情が読み取れますよね。
これでも漫画の1コマとしては成立します!
つまり、絵がめちゃくちゃうまくなくても“漫画”は描けるんです!
「これくらいなら自分も描けそう」と思ったそこのあなた、
その通りです、描けます!
絵の違いは情報量にあり
では、うまい!と感じる漫画絵との違いはなんでしょうか。
セリフはそのままで、キャラクターを人間にして、いわゆる漫画風の絵で描いてみましょう。
いかがですか?
いろんな情報がてんこ盛りですよね!
・今どきの女子高生
・長袖だけど着込んではいないので季節は多分春か秋
・夕方に学校の廊下を歩いているのでおそらく放課後、下校するところかな
・ちょっと疲れていそう
・ギターっぽいもの持っているから軽音楽部かも
・痩せの大食い?ジャンキー好き?
・家族に夕食のリクエストを連絡しているのかも
……などなど、このキャラクターの性格、状況、感情はもちろん、
趣味嗜好や生活感すら薄っすらイメージできませんか?
たった1つのシーンで、山のような情報を意図的に伝える、受け手のイメージを膨らませる。
うまいと感じる漫画絵の最大の武器は、そこだと思います。
もちろん1つめの謎生物の方にも、キャッチーでゆるかわな雰囲気や、あえて余白を楽しむなど、このタッチならではの良さがあります。
漫画を読み慣れていない人は、シンプルな絵を好むことも多いです。
漫画好きでも情報量が多い絵は疲れてしまう、という人もいます。
老若男女、誰でも受け入れやすいのが1つめの絵の武器かもしれません。
情報量が多いほど良い!ということではなく、どちらにもそれぞれ良さやメリットがあるのです。
そして“漫画”がうまい人ほど、このどちらのタッチも描ける人が多いです。
絵を自在にコントロールして、読者にどんな印象を与えたいか、どれくらいの情報量を受け取ってほしいかを選べる技術がある、ということです。
まとめ
今回は、漫画的視点から考える、絵の情報量についてのお話でした。
ちょっと難しかったでしょうか?
漫画の絵は、上手い・下手だけでは言い表せないくらい、いろんな要素があります。
情報量はその中のひとつの要素にしか過ぎないのですが、とても重要なんです。
漫画を読むときに、今回お話した内容を少し意識しながらぜひ読んでみてください。
また違った楽しみ方ができるかもしれません!
イラストを描きたい人はもちろん、
漫画に少し興味を持った、漫画を描いてみたくなった、という人もレッスン大歓迎です!
ぜひお気軽にお越しください。