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ボーカルレッスンコースのブログ

音楽を作り続けるためには

いやー、暑くて嫌になりますね。

ZIGZAGの岡です。

音楽を作り続けるためにはどうしたらいいの?

今日も今日とて、「音楽を作り続けるためには何を心に置きながら取り組んでいけばいいか」について、書いてみたいと思います。

人生は長いので、気合いだけで生涯作り続けることは、どんな人間にも不可能です。

ここは一つ、ありがたい論文を色々参考にしてみましょう。

仕事、家事、育児、勉強など、現代人は常に時間に追われています。

しかし、多忙な日々を過ごしながらも、高い生産性を維持し、素晴らしい作品を生み出し続けている音楽家たちは確かに存在するんですよね。

彼らは一体、どのような秘訣を持っているのでしょうか?

忙しい時期にこそ「フロー状態」を味方につける

多忙な生活の中で音楽制作の時間を確保するのは難しいと思われがちですが、実は「集中力」こそが鍵となります。

心理学者のミハイ・チクセントミハイが提唱した「フロー(flow)」という概念をご存知でしょうか?これは、何かに深く没頭し、時間が経つのを忘れるほど集中している精神状態のことです。

フロー状態に入ることで、短時間でも非常に高い生産性を発揮することができます。

音楽制作においてフロー状態に入るためには、以下の論文が示唆する知見が役立ちます。

Cahn, B. R., & Polich, J. (2006). Meditation states and traits: EEG, ERP, and neuroimaging studies. 『Meditation states and traits: EEG, ERP, and neuroimaging studies』という論文では、瞑想が脳の前頭前野の活動を変化させ、集中力や注意力を高める効果があることが示されています。

音楽制作を始める前に、数分間目を閉じて深呼吸をするだけでも、雑念を払い、これから行う作業に意識を集中させる効果が期待できます。これは、フロー状態への入り口を作るための簡単な準備運動といえるでしょう。

Nakamura, J., & Csikszentmihalyi, M. (2002). The concept of flow. Handbook of positive psychology.

この論文は、フロー状態に入るための条件として「明確な目標設定」と「即座のフィードバック」の重要性を強調しています。

たとえば、「今日はこの曲のドラムパートだけを完成させる」といった具体的な目標を設定し、制作ツール(DAWなど)から得られる音のフィードバックを楽しみながら作業を進めることで、よりフロー状態に入りやすくなります。

創作を習慣化する「マイクロ・タスク」戦略

忙しい中でまとまった時間を確保するのが難しいなら、細切れの時間を利用する「マイクロ・タスク」戦略が有効です。

これは、大きな目標を小さなタスクに分解し、それを日常の隙間時間に行うという方法です。

「朝起きたらメロディを1コーラスだけ考える」とか、「電車の中で歌詞を1行書く」でも良いです。

ただ机に向かって作品と向き合うだけが制作ではありません。なんなら、別に音楽じゃないことでもいいんですけどね。最終的に制作に結びつけようとするどうか、なので(結びつけなければいけないわけではない)。

Lally, P., van Jaarsveld, C. H. M., Potts, H. W. W., & Wardle, J. (2010). How are habits formed: Modelling habit formation in the real world.

この論文は、新しい行動が習慣として定着するまでのプロセスを分析しています。これによると、新しい習慣を形成するには、平均で66日かかることが示されています。つまり、毎日少しずつでも継続することが何よりも重要だということです。

音楽制作におけるマイクロ・タスクの例:

  • 電車の中:スマートフォンでメロディのアイデアを文字に起こす。歌詞のモチーフを書き留める。目の前に座った人の背景を想像してみる(あまり見つめると不審がられるのでほどほどに)。
  • 休憩時間:DAWを開き、10分間だけ新しいシンセの音色を探す(PCやスマホで操作可能な環境であれば)。
  • 寝る前:ギターを手に取り、新しいコード進行を3つ試す。

完璧主義を手放す「あえての未完成」

多くの音楽家が直面するもう一つの壁は、完璧主義です。「納得のいくものができるまで公開しない」「完璧なアレンジになるまで先に進めない」といった考えは、創作の停滞を招きがちです。

Simon, H. A. (1955). A behavioral model of rational choice. 経済学者のハーバート・サイモンは、「満足化(satisficing)」という概念を提唱しました。

これは、完璧を求めるのではなく、ある程度の水準を満たせば「これで十分だ」と判断し、次の行動に移るという考え方です。

音楽制作においても、この考え方は非常に重要です。1曲を完璧に仕上げようとせず、「まずはデモ音源を完成させる」「今日はこの曲のベースラインだけを満足できるレベルにする」といった形で区切りをつけることで、創作のモチベーションを維持し、次々と新しいアイデアを生み出すことができます。

未完成のまま放置された作品をたくさん作ることも、決して無駄ではありません。それらは後で再利用できる宝の山になります。

最後に

忙しい日々の中で音楽を創作し続けることは、確かに簡単ではありません。

しかし、フロー状態を意識し、マイクロ・タスクで習慣化し、完璧主義を手放すことで、あなたの創作活動はきっと加速すると思います。

大切なのは、毎日少しでも音楽に触れる時間を作ること。論文が示すように、小さな積み重ねこそが、やがて大きな作品へと繋がる道なのです。

あとがき

というわけで実は、「続けることに必要なのは才能ではない」ということが、なんとなくお分かり頂けたのではないでしょうか。

まずは少しでも手をつけ、完璧を求めずにステップアップしていくことが肝要です。

そんなわけで、また次回に。


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