こんにちは、ZIGZAG MUSIC SCHOOLです!
「あ゛ー」という、ドアがきしむような低い音。
あれがエッジボイスです。地味な練習に見えて、実はミックスボイスや高音の土台になる大事な技術です。今回はその仕組みと出し方をお話しします。
エッジボイスとは?まずは仕組みから知っていこう
エッジボイスは、歌そのものに使うというより、声帯をコントロールするための道具として使われることが多い発声です。まずは何が起きているのかを見ていきましょう。
エッジボイスは「声帯をゆっくり触れ合わせて出す」音
エッジボイスとは、ごく少ない息で、声帯をゆっくり触れ合わせたときに出る低い音のことです。「ボーカルフライ」「フライ発声」と呼ばれることもあります。
普通に声を出しているとき、声帯は1秒間に何百回という速さで振動しています。
速く振動するほど高い音になり、遅いほど低い音になります。
たとえば扇風機でも、最速にしていると羽はみえませんが、遅くすると段々とはっきりひとつひとつの羽がみえてきますよね。
エッジボイスも同じです。
エッジボイスは、振動をぎりぎりまで遅くした状態で、振動が遅いので一回一回の「触れ合い」が音として聞こえてくるためにあの「ぶつぶつ」「がらがら」という質感になります。
なぜボイトレでエッジボイスをやるのでしょうか
理由は大きく2つあります。
ひとつめは、声帯を閉じる感覚をつかむためです。
息漏れの多い声、芯のない声などの原因は、声帯がしっかり閉じきっていないことにあります。
逆にいえばしっかり閉じていると息漏れがなくなり、明瞭で芯のある声になっていきます。
エッジボイスは声帯が触れ合わないと絶対に出ないので、出せている=閉じられているという確認になるというわけです。
ふたつめは、脱力できているかを判定するためです。
エッジボイスは、喉に力が入っていると出ません。
力むと止まってしまうので、「今、力が抜けているか」を自分で判定できるセンサーとしてもエッジボイスは大事なのです。
エッジボイスができると、何が変わるのでしょうか
具体的な変化は3つあります。
まずミックスボイスに近づきます。
地声と裏声の違いは、ざっくり言うと声帯が閉じているか閉じていないかです。
裏声で高音が出せても地声ではでない!という人は声帯のコントロールが高音でできない人です。エッジボイスで声帯の感覚をつかむことで、よりミックスボイスらしい声を出すことができます。
に声の出だしが揃います。
歌い出しでかすれる、ぼやける、という方は、声帯が閉じる前に息が出てしまっています。エッジボイスから声を立ち上げる練習をすると、音の頭がはっきり決まるようになります。
そして表現の幅が広がります。
フレーズの入りにほんの少しエッジを混ぜると、色気やけだるさのようなニュアンスが出せます。ONE OK ROCKのTakaさんの歌い出しなどは、この使い方の代表例としてよく挙げられます。
ONE OK ROCK – Renegades
00:40秒あたりがまさにエッジボイスを多用しています。
エッジボイスを勉強したい方はプロボーカルコースへ!エッジボイスを練習するときの注意点
シンプルな発声ですが、間違ったやり方で続けると喉を疲れさせてしまいます。始める前に確認しておきましょう。
大きな声を出そうとしないでください
よく聞く失敗が、大きくエッジボイスを出そうとすることです。
エッジボイスは、息をあまり使わない発声です。
息をたくさん流すと声帯自体が傷つき、喉がかれてしまいます。
響きを使えば聞こえやすい音は出せますが、最初は無理せず。
まずはか細くて頼りないくらいでちょうどいいと覚えておいてください。
音量の目安としては、静かな部屋で自分にだけ聞こえるくらい。
カラオケボックスや電車の中では、そもそも聞こえないくらいの音量で大丈夫です。
エッジボイスは他の歌のトレーニングに比べ、「できている」「できていない」が自分でもわかりやすいジャンルなので、録音をしながらチェックするのがおすすめです。
「最初からできる人」がいるのは普通のことです
「エッジボイスは生まれつきできる人がいる」と聞いたことがあるかもしれません。実際そのとおりで、何も習っていないのに最初から出せる方は一定数います。
これは声帯の閉じやすさや、普段の話し方のクセによるところが大きいです。
ただし、最初からできる=上手い、ではありません。大事なのは出せるかどうかではなく、出したいときに出せて、止めたいときに止められるかです。できる方はコントロールの精度を上げる段階に、できない方はまず出す段階に進めばいいだけの話なので、比べて焦る必要はまったくありません。
生徒さんでも、自分の得意な音域はすぐにエッジボイスを出せるが、高音などに鳴ると中々出せない…といった生徒さんも多いので、「苦手なことを見つけて、改善していく」というシンプルな考えで自分にあった形でトレーニングをすすめていきましょう。

エッジボイスの出し方!自宅でできる練習方法
いよいよ実践です!
いままで「エッジボイスができなかった」という人もこの方法で必ずできるようになります!
「出す → 保つ → コントロールする」の3段階でエッジボイスを育てていきましょう!
エッジボイスを出す
最初はどんな形でもいいので、まず「エッジボイスが出せる」ようになることが大切です。
主なやり方としては3つです。
①水を口に入れた感覚で声を出す
実は水を含んで上を向いているときというのは声帯がとじています。
これを利用してエッジボイスを出す方法です。
やり方はこうです。
まずは口を上に向けてください。
そのうえで口の中に水を含んだことを想像してください。
実際に含んで一度感覚をつけても大丈夫です(その後水は一度だしてください)
その喉の奥がピタッっと閉じた状態から、息を少しずつだしていきます。
すると「あー」ではなく「あ”ー」といった濁点のついた音がでることがわかります。
急がずにゆっくり声をだしてください。
これがエッジボイスの感覚です。
②思い出した感覚の声
出ない方は、次は思い出したときの「あ!」という声を元にしましょう。
これは実は「声帯がしまりかつ、力が入っていない」理想的な発声なんです。
その「あ!」がでたら、次はその音を長めに出してあげます。
この02:00あたりの感じです。
次第に長くしていくとだんだんとエッジボイスらしく鳴ると思います。
③ため息
つぎはため息から入る方法です。
声を出すときはついつい息を使いがち、その息がなくなってちょうどよくなる時…
それは息の終わり際です。
ここではため息をつかってエッジボイスを出す方法をみていきましょう。
まず、大きくため息をついてください。「はぁー……」と、息を最後まで吐ききります。そして息が尽きかけたところで、そのまま声を出そうとしてみてください。息がほとんど残っていないので、勝手に低くかすれた音になります。それがエッジボイスです。
それでもうまくいかない場合は、寝起きの声を再現するイメージもおすすめです。
朝いちばん、まだ声が起きていないときの低い「あー」。
感覚派の人にはこういったなにかをマネした形での再現が一番むいています。
10秒間、途切れずに保つ
音が出せるようになったら、次は安定させます。目標は10秒キープです。
最初は2〜3秒で途切れてしまうと思います。途切れる原因はだいたい2つで、息を流しすぎているか、喉に力が入っているかのどちらかです。
途切れたら、いったん息を全部吐いてリセットして、またため息から入り直してください。「頑張って伸ばす」のではなく、「何もしないでいる時間を長くする」という感覚が近いです。
判定は最初は甘くていいです。
10秒安定して保てるようになったら、音の高さを変えてみましょう。
これはエッジボイスに限定したスケール練習の動画です。
音にあわせて、しっかりとならしていきましょう。
実は自分自身、こういったエッジボイスの高音を練習したあとに歌った際、いつも細くなりがちな高音の音(スティービーワンダーのような高音の強い曲)がしっかりと歌えるようになりました!
みなさんもぜひつづけてみてください。
エッジボイスと地声を行き来する
最後は、実際の歌につなげる段階です。
やり方は、エッジボイス → 地声 → エッジボイスと、切れ目なく行き来するだけです。
「あ゛ーーあーーあ゛ーー」と、声を止めずにつなげてください。
この02:30くらいからです。
ここが一番難しいところで、多くの方は切り替わる瞬間に一度声が途切れます。途切れるということは、そこで声帯の動きがリセットされているということ。切らずにつなげるのが目標です。
これができるようになると、歌の中でエッジを混ぜられるようになります。フレーズの頭にほんの少しだけエッジを乗せて、すぐ普通の声に移る。この使い方ができれば、表現の道具として実戦投入できます。
慣れてきたら、好きな曲の歌い出し一言だけをエッジ入りで歌ってみてください。録音して聴き比べると、原曲の質感にどれだけ近づいたかがよく分かります。
Q&A
エッジボイスは生まれつきできる人しかできませんか?
そんなことはありません。
最初から出せる方はいますが、出せない方も練習で必ず出せるようになります。
ため息の最後から入る方法を試してみてください。
エッジボイスをやると喉に悪いのでしょうか?
正しく出せていれば負担はほとんどありません。
痛みや違和感が出るのは、力んでいるサインです。
音量を落として、ため息から入り直してみてください。
どのくらいの期間で出せるようになりますか?
その日のうちに出せる方も多いです。
ただし10秒安定させる、地声と行き来する、までは数週間から1か月が目安になります。
1日数分で十分です。
エッジボイスとがなり声は違うものですか?
違います。
エッジボイスは息をほとんど使わない低い音、がなり声は息を多く流して声帯の上の部分まで巻き込む音です。
ただしエッジボイスはがなり声の入口としても使われるので、無関係ではありません。
話し声でエッジボイスが出てしまうのですが、直したほうがいいですか?
語尾が常にエッジになっている場合は、声帯を閉じすぎているか、息の支えが足りていない可能性があります。
歌のための技術としては有効ですが、話し声で常態化しているなら腹式呼吸から見直すことをおすすめします。
まとめ
エッジボイスは、声帯が閉まっているのかチェックすることにもよく使われます。
高音で力みがちな人はまずはエッジボイスで高い音を出していけるようにしてみると、音域が広がっていきますよ。
地味な練習ですが、できるようになってくると歌唱力もテクニックも飛躍的にあがるので、ぜひ練習してみてください!
エッジボイスをマスターしたい方は体験レッスンへ!